僕の大好きな人が作品や何やらを発表した後、その人のことで頭がイッパイになって長々と尾をひいてしまうなんてことがよくあります。
今も実はその状態で、だいぶんおさまってきましたが、こんな状態に僕を陥れてしまった人は前にもこのブログで紹介させてもらいましたが、そう、北野武さんです。 何というのでしょうか、「TAKESHIS'」ショックとでも言いましょうか、タケシ・シンドロームとでも言うようなことが自分の中で起こっています。 その具体的な症状は、まず上の「別冊カドカワ 総力特集北野武」(¥980)を購入し、読みふける。 内容は新作『TAKESHIS'』に関する北野武の1万字ロング・インタビューや美輪明宏、岸本加世子、大杉漣、寺島進、京野ことみの出演者インタビューや志村けん、忌野清志郎、ゆず、辻仁成、みうらじゅん、おちまさと、NIGO、中澤一登、村上隆、草間彌生などのコメントなど盛り沢山です。 引き続いての症状は、上の「武がたけしを殺す理由」(ロッキン・オン、¥1680)を購入し、読みふける。 内容は「あの夏、いちばん静かな海。」から「座頭市」までの各々の作品完成後に渋谷陽一さんが行った貴重なインタビュー集。 これは、すごいおもしろかった。「HANABI」ぐらいまでの北野武さんの言っていることはスゴイ、ビリビリビリ来ました。鬼気迫っていますよ。 続いての症状はこちらです。 北野武さんと何の関係があんねんと言われそうですが、自分の中では関係があります。 北野武さんは明治大学工学部中退(最近、卒業させてもらったらしい)というバリバリの理系わけで、数学とか物理の専門的な話を時々、話の中に盛り込んだりしていて、例えば振り子の話とか、「TAKESHIS'」でも数学のフラクタル理論というのを用いて10年ぐらい前からタイトルも「フラクタル」というタイトルですでに頭の中にあったそうで、そういうふうに映画とかいわゆる芸術の分野に数学とか物理を持ち込んでくるわけです。 何か、相容れないような気もしますが、それを見事にわかりやすく提示してくるという、何ともまあスゴイ・・・。 かく言う私も理系なので、そういうことができるのがうらやましくて何とかお近づきになりたいと思うのであります。 先日もフジテレビで3時間のタイトルは忘れてしまいましたが、日本の教育はこれからどうなる という内容でビートたけしさんと爆笑問題が司会でやってましたが、その番組の一部でビートたけしと東京都知事・石原慎太郎さんが対談していて、そこでもうる覚えで申し訳ないのですが、作家の三浦綾子さんが何で二次方程式なんて習うんだみたいなことを石原慎太郎に言ったらしく、そのことを石原慎太郎さんが言ったら、ビートたけしさんが映画の話をし出して、映画に因数分解の考え方を使っている話をしていて、それがもう立派な映画理論なんです。因数分解自体は、社会に出て使うことはないけれども、考え方を使うことはできる、まあその人次第みたいなことを言っていたんです。 理系で勉強して、まあそんなことなかなか思わないんです。あっ、この問題、理論の考え方は別のものに活かせるなあとか。 だから、繰り返しになりますが、そういうことができるのがうらやましくて何とかお近づきになりたいと思うのであります。 で、何か読もうと思って手にとったのが上の「博士の愛した数式」(映画化!!!)等で有名な小川洋子さんと数学者でエッセイストでお茶の水女子大学理学部教授でもある藤原正彦さんが対談形式で数学の美しさについて様々な具体的な人物、理論を用いながら、数学が全くわからない人にもわかりやすく説明をほどこしてある面白い本です。 北野武さんは芸術に数学を持ち込むのに対して、藤原雅彦さんは逆に数学に芸術を持ち込む、そのように読んで思いました。 たとえば、「数学は実用にすぐに役に立たないから素晴らしい」とか、天才数学者の生まれる条件として「第一に、神に対してでも、自然に対してでもいいから、何かにひざまずく心を持っていること、第二に、子供の頃から美しいものを見ていること、第三に、お金を尊ぶといった物欲ではなくて、もっと役に立たないもの、精神性の高いもの(文学、芸術、宗教心)を尊ぶ」と言ったり、数学者を芸術家に置き換えても条件は変わらないと思えるほど、芸術に関する造詣が藤原さんは強いようで日本人のすごさもアピールしておられます。 つまり、行く所まで行くと一つの考えにいくんでしょうなあ。間違っていても正しい間違え方をするんでしょうなあ。 以上が、おおよその症状ですが、日常生活の細かい所に色々な影響が自分の気がつかないところで出ていることでしょう。 とにかく、「TAKESHIS'」を観ましょう。
by off-wax
| 2005-11-22 20:55
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